雇用保険料と社会保険料の徴収を開始するタイミングとは??

こんにちは!
埼玉県新座市の助成金に強い「福田社会保険労務士事務所」代表の福田です!
新座市、朝霞市、志木市、和光市の中小企業様の顧問先企業様を中心に、労務相談や給与計算、経営相談まで幅広くサポートさせていただいております。
本日のテーマは「雇用保険料の徴収タイミング」です。
給与計算担当になりたてのころ、誰もが一度は迷うテーマです。
新人人事部 S郎ちょうどこれから新入社員の
給与計算が始まるんです。
雇用保険料って、いつから
天引きすればいいんですか?
教えてくださーい!
社労士 福田社労士になりたてのころ、
私も同じところで迷いました。
S郎さんの力になれるよう、
順番に解説していきますね!
雇用保険料は、入社後に初めて給与が支払われた日から控除が始まります。でも、それだけではまだ安心できません。
「社会保険料と同じタイミングで引けばいい?」「月途中入社は日割り計算が必要?」
この2つ、じつはどちらも正解は「No」です。
雇用保険料と社会保険料は徴収開始のタイミングが異なるため、締め日・払い日の組み合わせによっては引き始める月が1ヶ月ズレることがあります。
この記事では、給与計算担当者が迷いやすいケースを締め日パターン別・ケース別に具体的に解説します。
3つの基本ルール
雇用保険料の控除タイミングを正しく理解するには、まず「いつから引くか」「どう計算するか」「社会保険料とどこが違うか」という3つの基本を押さえることが重要です。
ここでは、法律上のルールと現場で混乱しやすいポイントをわかりやすく解説します。
雇用保険料の控除タイミングの大原則
雇用保険料は「給与を支払う都度」控除します。
入社後、最初の給与が支払われたタイミングから天引きが始まります。
これは労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収法)第32条に定められたルールで、「賃金を支払うたびに保険料を控除することができる」と明記されています。
日割り計算は不要で、支払われた賃金の金額に料率をかけるだけです。
(賃金からの控除)
出典:労働保険の保険料の徴収等に関する法律
第三十二条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、前条第一項又は第二項の規定による被保険者の負担すべき額に相当する額を当該被保険者に支払う賃金から控除することができる。この場合において、事業主は、労働保険料控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該被保険者に知らせなければならない。
2 第八条第一項又は第二項の規定により事業主とされる元請負人は、前条第一項の規定によるその使用する労働者以外の被保険者の負担すべき額に相当する額の賃金からの控除を、当該被保険者を使用する下請負人に委託することができる。
3 第一項の規定は、前項の規定により下請負人が委託を受けた場合について準用する。
社会保険料との徴収タイミングの違い:ここが最大の混乱ポイント
雇用保険料と社会保険料(健康保険・厚生年金)は、徴収開始のルールが根本的に異なります。
- 雇用保険料
- 入社後、初回の給与を支払った時点から
- 社会保険料(健康保険・厚生年金)
- 入社月(資格取得月)の翌月払いの給与から
※ただし「当月徴収」を採用している会社の場合は異なります
新人人事部 S郎えっ、同じ保険なのに
タイミングが違うんですか?
社労士 福田そうなんです。
社会保険料は「翌月控除が原則」
ですが、雇用保険料は「払った
都度控除」です。この違いが、
特に当月払いの会社で1ヶ月の
ズレを生みます。
次に雇用保険料の計算方法に
ついても見ていきましょう。
令和7年度の雇用保険料率と引かれる金額の目安
雇用保険料は「支払われた賃金 × 雇用保険料率」で計算します。
令和8年度(2026年度)の料率は以下のとおりです。
| 事業の種類 | 労働者負担率 | 給与25万円の控除額 | 事業主負担率 |
| 一般の事業 | 5/1,000 (0.5%) | 1,250円 | 8.5/1,000 (0.85%) |
| 農林水産・清酒製造 | 6/1,000 (0.6%) | 1,500円 | 9.5/1,000 (0.95%) |
| 建設の事業 | 6/1,000 (0.6%) | 1,500円 | 10.5/1,000 (1.05%) |
【計算例】一般事業・月給25万円の場合
250,000円 × 0.005 = 1,250円 を毎月控除
なお、通勤手当も雇用保険料の対象となる賃金に含まれます。
また、社会保険料と異なり、残業代や手当によって毎月の給与額が変わる場合は毎月再計算が必要です。
【締め日パターン別】いつの給与から引かれる?早見表つき
【判断フロー】雇用保険料の開始月を確認する
STEP1:自社の給与払い日は「当月払い」か「翌月払い」か?
・ 当月払い(例:4月分を4月25日に支払う)
→ 雇用保険料は入社月の給与から控除(翌月徴収の会社は社会保険料とズレる)
・ 翌月払い(例:4月分を5月25日に支払う)
→ 雇用保険料も翌月払いから控除(翌月徴収の会社は社会保険料と同じ月)
4月1日入社の新入社員を例に、3パターンの早見表で確認します。
| 締め日・払い日 | 雇用保険料の開始 | 社会保険料の開始 |
| 月末締め 翌月25日払い | 5月25日払いから | 5月25日払いから ※ |
| 月末締め 当月25日払い | 4月25日払いから ⚠️ | 5月25日払いから ※ |
| 20日締め 翌月20日払い | 5月20日払いから | 5月20日払いから ※ |
⚠️ 当月払いの場合、雇用保険料と社会保険料の開始月が1か月ズレる点に注意してください。
※ 「当月徴収」の会社は社会保険料の開始が4月になります。その場合、翌月払いの会社では雇用保険料の開始が1か月遅くなります。
新人人事部 S郎早見表があると安心です。
ありがとうございます!
社労士 福田まず自社の締め日・払い日の
パターンを確認して、早見表で
照らし合わせると間違いが減り
ますよね。続けて具体的な事例
も踏まえて解説します!
【事例①】月末締め・翌月払いの場合(最多パターン)
- 雇用保険料:5月25日払いの給与から徴収開始
- 社会保険料:5月25日払いの給与から徴収開始
4月分の賃金は5月25日に支払われます。
雇用保険料は「その給与を支払う都度」なので5月25日払いからスタート。
社会保険料も翌月徴収であれば「4月に資格取得→翌月(5月)払いから」のため、タイミングが一致します。このパターンが最もシンプルで、ミスが起きにくいです。
【事例②】月末締め・当月払いの場合(雇用保険料と社会保険料がズレる!)
- 雇用保険料:4月25日払いの給与から徴収開始
- 社会保険料:5月25日払いの給与から徴収開始
新人人事部 S郎同じ4月1日入社なのに、
雇用保険料だけ先に引き始めるんですか?
社労士 福田そうなんです。
当月払いの会社では、4月1日〜4月30日の賃金を4月25日に支払いますよね。
雇用保険料は『払った給与にその都度かかる』ルールなので、
4月25日払いから引き始めます。
でも社会保険料は翌月分からのルールなので5月25日払いから。
この1ヶ月のズレが見落としやすいポイントです。
「当月払いなのに雇用保険料と社会保険料を同じ5月から引いてしまった」というミスは現場でよく起きています。
締め日パターンを給与計算システムに正確に設定してあるか、一度確認してみてください。
【事例③】20日締め・翌月払いの場合
- 雇用保険料:5月20日払いの給与から徴収開始
- 社会保険料:5月20日払いの給与から徴収開始
20日締めの場合、4月1日〜4月20日分の賃金は5月20日に支払われます。
初回給与の支払いが5月20日のため、雇用保険料・社会保険料ともにここからスタートします。
なお、中途入社で4月21日以降に入社した場合、初回給与の支払いが翌々月になるケースもあります。
入社月の確認は必ず行ってください。
新人人事部 S郎事例をご用意いただいたので
とてもよく分かりました!
社労士 福田まず自社の締め日パターンを
確認して、早見表で照らし合わ
せると間違いが減ります。
次は月途中や退職など、
イレギュラーなケースを見ていきましょう。
月途中入社・退職・ボーナスのケース別対処法
入社・退職が月の途中になるケースや、ボーナス・パートタイムへの対応は、給与計算の現場でとくにミスが起きやすい場面です。
「日割り計算は必要か」「退職月はどう扱うか」など、ケースごとの正しい処理方法を確認しておきましょう。
月の途中で入社した場合、日割り計算は必要?
日割り計算は不要です。
雇用保険料は「支払われた賃金の金額 × 料率」で計算するだけです。
月の途中から入社した場合でも、その月に支払われた賃金に料率をかければOKです。
新人人事部 S郎4月15日入社の場合、
4月分の給与は15日分だけです
よね。その少ない賃金に料率を
かけるだけでいいんですか?
社労士 福田そのとおりです。
たとえば4月15日〜30日分の
賃金が12万円なら、
12万円 × 0.005 = 600円を
控除するだけ。
社会保険料のように月単位の
固定額ではないので、複雑な
日割り計算は一切不要です。
月の途中で退職した場合、最後の給与から引く?引かない?
退職時は雇用保険料と社会保険料でルールが大きく異なります。これが最もミスが起きやすい場面です。
| 退職パターン | 雇用保険料 | 社会保険料 |
| 月途中退職(例:4月20日) | 退職月の賃金から徴収する ※ | 退職月(4月分)は徴収しない |
| 月末退職(例:4月30日) | 退職月の賃金から徴収する ※ | 退職月(4月分)も徴収が必要 |
※ただし、退職月に賃金の支払いがある場合に限る
新人人事部 S郎雇用保険料はどちらのパターン
でも退職月から引くんですね。
でも社会保険料は月末退職か
どうかで変わるんですか?
社労士 福田そうです。
雇用保険料は『賃金が発生した
分に対して都度徴収』なので、
退職月でも賃金があれば必ず
控除します。
社会保険料は資格喪失日のルールが関係します。
月末退職(例:4月30日)は
翌日5月1日が資格喪失日なので
4月分まで徴収が必要。
月途中退職(例:4月20日)は
4月21日が資格喪失日なので
3月分まで徴収で終わりです。
【徴収漏れが退職後に発覚した場合の対応】
- 退職者への連絡: 退職後に未徴収が判明した場合、まず本人に連絡して返還を求める
- 精算方法: 退職後の賞与支払いがある場合はそこから控除。なければ振込依頼か、会社が立替処理をする
- 社会保険との混同に注意: 雇用保険料の漏れと社会保険料の漏れは別々に確認・精算する
⚠️ 退職者の最終給与を計算するときは、必ず「月末退職か途中退職か」を確認してから処理してください。
ボーナス(賞与)からも雇用保険料は引かれる?
ボーナスからも雇用保険料は引かれます。
賞与も「賃金」に含まれるため、月給と同じルールで雇用保険料を控除します。
新人人事部 S郎ボーナスを支給するとき、
計算方法は月給と同じですか?
社労士 福田計算式はまったく同じです。
『賞与額×料率』で計算します。
一般事業で賞与30万円なら、
300,000円×0.005 =1,500円
を賞与から控除します。
料率は賞与支給日時点の料率を使います。
なお、社会保険料(健康保険・厚生年金)も賞与から控除しますが、こちらは「標準賞与額 × 保険料率」で計算方法が異なります。
賞与支給時に両者を混同しないよう注意してください。
パート・アルバイトの雇用保険料はいくら?
パート・アルバイトの方も、以下の加入条件を両方満たす場合は雇用保険に加入し、給与から保険料が控除されます。
- 31日以上、雇用されることが見込まれる
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
計算方法は正社員とまったく同じです。
例えば、時給1,200円 × 月80時間
= 月給96,000円のパートさんの場合
☞ 96,000円 × 0.005 = 480円 を毎月の給与から控除
「パートだから計算方法が違う」ということはなく、支払われた賃金に料率をかけるだけです。
【要注意】給与計算担当者が陥りやすい計算ミス
基本ルールを理解していても、実務では思わぬ落とし穴にはまることがあります。資格取得日のズレ、同月内の複数回支払い、少額給与の見落としなど、現場でよく起きるミスのパターンと確認ポイントをまとめました。
- パターン①:入社日と社会保険の資格取得日がずれているとき
- パターン②:当月払いの会社で入社月に複数回給与が出るとき
- パターン③:月途中加入で初回給与が少額のとき
- パターン④:雇用保険料が引かれていない月がある 原因と確認手順
パターン①:入社日と社会保険の資格取得日がずれているとき
雇用保険の資格取得日は「実際に働き始めた日(入社日)」です。
一方、書類の提出遅れなどで社会保険の手続き上の資格取得日が入社日とズレることがあります。
この場合、雇用保険料の控除開始は「入社日を含む最初の給与払い日」から。
社会保険料は「手続き上の資格取得日の翌月払いから」になります。
【確認ポイント】
- 入社日と社会保険の資格取得届の日付が一致しているか必ず確認する
- 入社手続きと給与計算の担当者が異なる場合は、情報共有のタイムラグに注意する
パターン②:当月払いの会社で入社月に複数回給与が出るとき
月途中入社で、入社日分の前払い給与(日割り分)と通常の月次給与が同月に2回支払われるケースがあります。
雇用保険料は「給与を支払うたびに」かかるため、前払い分と通常給与の両方に対して料率をかける必要があります。
⚠️ 「1回目の前払いは少額だから控除しなかった」という処理は誤りです。少額でも賃金が支払われた時点で徴収義務が発生します。
パターン③:月途中加入で初回給与が少額のとき
月の途中から入社した場合、初回給与が数万円程度になることがあります。
「少額だから雇用保険料はかからないだろう」という判断は誤りです。
【確認ポイント】
- 初回給与が少額でも、雇用保険料の計算・控除を忘れない
- 「雇用保険の資格取得日」と「初回給与の支払い日」を確認してから処理する
- 社会保険料の控除開始月と別々に管理する
パターン④:雇用保険料が引かれていない月がある 原因と確認手順
「給与明細を確認したら雇用保険料が引かれていない月がある」と気づいた場合、以下の原因を順番に確認してください。
【微収漏れ原因の確認ポイント】
- その月の給与支給額はゼロだったか?
- 給与ゼロ月は雇用保険料も発生しない(正常)
- 育児休業・産休中だったか?
- 育休・産休中も雇用保険料の控除は必要(免除されない)
- 資格取得前の月だったか?
- 加入前の月は発生しない(正常)
- 給与計算システムの設定ミスか?
- 料率設定・対象者設定を確認する
- 上記に該当しない場合は徴収漏れの可能性
- 遡って計算・精算が必要
⚠️ 育児休業中の社会保険料は免除されますが、雇用保険料は免除されません。混同しやすいので注意してください。
社労士 福田このような徴収タイミングの
ミスは、給与計算システムの
設定を見直すだけで防げること
も多いです。
今の時期は入社手続きで
忙しいかと思いますが、ぜひ
一度確認してみてください!
よくある質問
雇用保険料はいつから給与で引かれ始めますか?
入社後、最初に給与が支払われた日から控除が始まります。「給与を支払う都度」徴収するのが法律上のルールです。社会保険料(健康保険・厚生年金)のように翌月からではなく、初回給与のタイミングがそのままスタートになります。
雇用保険料と社会保険料は同じ月から引かれますか?
会社の締め日・払い日によって異なります。翌月払いの会社では両者が同じ月からスタートしますが、当月払いの会社では雇用保険料が1ヶ月早く始まります。同じ月から引けばよいとは限らないため、自社の締め日パターンを必ず確認してください。
月の途中で入社した場合、雇用保険料は日割り計算が必要ですか?
日割り計算は不要です。月途中入社でも、その月に支払われた賃金の金額に料率をかけるだけです。社会保険料と混同しやすいポイントですが、雇用保険料は「支払われた賃金×料率」のシンプルな計算で完結します。
退職した月の雇用保険料は給与から引きますか?
はい、徴収が必要です。雇用保険料は「賃金が発生した分に対して都度徴収」するルールなので、退職月に賃金の支払いがある場合は控除します。ただし社会保険料は月末退職か途中退職かで扱いが変わるため、両者を混同しないよう注意してください。
給与明細に雇用保険料が引かれていない月があるのはなぜですか?
主な原因は「その月の給与支給額がゼロだった」「資格取得前の月だった」「給与計算システムの設定ミス」の3つです。育休中も雇用保険料の控除は必要なため、育休中に引かれていない場合は徴収漏れの可能性があります。原因を確認して対処してください。
ボーナス(賞与)からも雇用保険料は引かれますか?
はい、賞与も対象です。計算方法は月給と同じで「賞与額×雇用保険料率」です。料率は賞与支給日時点の料率を使います。社会保険料も賞与から控除しますが、計算方法が異なるため混同しないよう注意してください。
パートタイムの従業員にも雇用保険料はかかりますか?
週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みという条件を両方満たす場合は加入が必要で、給与から雇用保険料が控除されます。計算方法は正社員と同じで「支払われた賃金×料率」です。まず加入条件を確認してから処理してください。
雇用保険料率はいつ変更され、どの給与から適用されますか?
料率変更は毎年4月1日に適用されます。翌月払いの会社では4月分(5月払い)の給与から新料率が適用され、当月払いの会社では4月払いの給与から適用されます。締め日パターンによって適用開始の給与が変わるため、年度更新のタイミングで必ず確認してください。
まとめ:給与計算前に確認したい3つのポイント
最後に、雇用保険料の徴収タイミングで絶対に押さえておきたいポイントを整理します。
- 雇用保険料は社会保険料より1ヶ月早く始まることがある(当月払いの会社は特に注意)
- 月途中入社・退職でも日割り計算は不要。支払われた賃金に料率をかけるだけ
- ボーナスもパートも同じルール。賃金が発生すれば都度徴収
退職時は「雇用保険料は退職月の賃金から必ず徴収、社会保険料は月末退職かどうかで変わる」という点もセットで覚えておくと、最終給与計算のミスを大幅に防げます。
新人人事部 S郎雇用保険料と社会保険料を
別々のルールで考えることが大事なんですね。
ありがとうございました!
社労士 福田「一緒に引けばいい」と思い
がちですが、ケースによって
ズレが生じます。
不安な場合はいつでもご相談
くださいね!
スタッフ M子給与計算の運用等の労務に関するご相談は、
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